「バリアフリー対応」と書かれていたのに、行ってみたら部屋が使いにくかった……。そんな経験はありませんか?写真だけでは分からない「本当の使い勝手」を予約する前に、しっかりチェックしておきたいですよね。この記事では、現地でガッカリしないための「宿選びのコツ」と、おすすめのバリアフリー宿を紹介します。目的に合った宿探しと、沖縄旅行の計画作りにぜひお役立てください。
「行ってみてガッカリ」を防ぐ!宿選びで大切にしたい3つのポイント
失敗しない宿選びには、いくつか押さえておきたいコツがあります。ここでは、予約前に確認しておきたい3つの大切なポイントについて詳しく解説します。
1. 「バリアフリールーム」と「ユニバーサルルーム」の違いとは?
ホテルを探すときによく目にする、「バリアフリールーム」と「ユニバーサルルーム」があります。宿によって定義があいまいで、名前だけで判断せず、具体的な設備を確認しておくと安心です。
「バリアフリー」は段差をなくすことが中心ですが、すべての障がいに対応できるとは限りません。「ユニバーサル」は、お年寄りや妊婦さんも含め、誰にとっても使いやすいように工夫されています。
手すりが簡易的だったり、車椅子で回転するスペースが狭かったりすることもあります。予約前に、自分にとって必要な設備が整っているか、詳しく確認することが大切です。
~ユニバーサルデザインは、障害者だったロナルド・メイス氏が、バリアフリー対応設備の「障害者だけの特別扱い」に嫌気がさして、最初から多くの方に使いやすいものを作る設計手法として発明されました。一方、バリアフリーは障害者・高齢者などの生活弱者のために、生活に障害となる物理的な障壁の削除を行うという、過去の反省に立った考え方で進化してきました。~
2. 写真だけでは分からない!予約前に確認すべき建物の設備
宿泊施設の公式サイトの写真はとても綺麗ですが、写真では広く見えても、実際の数値を確認しないと「車椅子が通れない」といったトラブルになりかねません。
「車椅子可」の部屋でも、ドアの幅が狭くて電動車椅子が通れないことがあります。ベッドが高すぎて乗り移りが難しかったり、入り口から部屋までの導線が不便だったりすることもあります。
ドアの幅やベッドの高さなど、具体的な数値を事前に確認してください。また、入浴用チェアや滑り止めマットなどの貸し出し在庫があるかも、忘れずに確認しておきたいポイントです。
3. 設備と同じくらい大切な「スタッフの対応力」
どんなに設備が整っていても、最終的に頼りになるのは「人」です。物理的なバリアが少しあっても、人の手助けがあれば快適に過ごせる場面はたくさんあります。
大切なのは、事前の電話でスタッフの対応の質を確認しておくことです。「緊急時に手助けをお願いできるか」や「食事会場で椅子の配置を変えられるか」などを聞いてみましょう。
沖縄のバリアフリー対応リゾートホテルおすすめ4選
沖縄には、障がいがあっても快適に過ごせる素晴らしいリゾートホテルがたくさんあります。ここでは特に設備が充実しているおすすめのホテルを4つ紹介します。
1. ホテル日航アリビラ
読谷村(よみたんそん)にある、異国情緒あふれる空間を実現した最高ランクのホテルです。車椅子での利用に配慮された「ユニバーサルルーム」があります。
最大の特徴は、全面フローリングになっている点です。そして、部屋からテラスへも段差なしで出られる設計は、沖縄のリゾートホテルでもかなり貴重です。
バスルームのドアが広く、入口に段差がないので、リラックスしてバスタイムを楽しめます。
2. ユインチホテル南城|天然温泉「猿人の湯」
南城市(なんじょうし)の高台に建つ、車椅子ユーザーでも天然温泉を楽しめるウェルネスリゾートです。
段差がなく車椅子でも移動しやすい「ユニバーサルファミリールーム」があり、広々とした洋室でゆったりとくつろげます。
注意点は、天然温泉「猿人の湯」の湯船に入るためのリフトなどの設備はありません。入口には段差があるので、湯船につかるには介助が必要です。入浴用チェアなどは借りることができます。
もし他人の目が気になる場合や、介助が難しい場合は、貸切の家族風呂を利用するのがおすすめです。こちらも入口には段差があるので、介助が必要になります。
3. ホテルオリオンモトブリゾート&スパ
本部町(もとぶちょう)の人気観光地「沖縄美ら海水族館」のすぐ隣にあり、移動の負担なく観光を楽しめるホテルです。
「ユニバーサルルーム」は海側に面しており、広々としたバルコニーもあります。部屋にいながら沖縄の美しい海を独り占めできます。
また、館内の天然温泉「ジュラ紀温泉 美ら海の湯」もバリアフリーに対応しています。ただし、脱衣所や洗い場、入口には小さな段差があるので移動する際は必ず介助をしてください。
入浴用チェアの貸し出しもあるため、絶景を眺めながら入浴を楽しめます。
4. 琉球温泉 瀬長島ホテル
豊見城市(とみぐすくし)の瀬長島にある、那覇空港を一望できる温泉ホテルです。空港から車で約15分と近く、部屋から迫力ある飛行機の離発着を眺められるのが最大の魅力です。
こちらには、車椅子のままバスルーム(ユニットバス)までスムーズに移動できる「ユニバーサルツイン」があります。
室内には車椅子を回転させる十分なスペースがあり、トイレ横の手すりや緊急呼び出しボタン、座ったまま使える高さの鏡など、当事者目線の細かい配慮が行き届いており、安心して滞在できます。
※ホテルの設備や貸出備品の在庫、金額などの詳細については、公式ホームページをご覧いただくか、直接ホテルへ電話でお問い合わせください。
世界自然遺産「やんばる」の森へ!車椅子で泊まれるユニバーサルルーム
北部の「やんばる」エリアには、世界自然遺産に登録された豊かな森が広がっています。ここでは、リゾートホテルとは一味違う、大自然を車椅子で体感できる公共施設を紹介します。
世界遺産の森に泊まる!国頭村の「やんばる学びの森」
沖縄本島北部の国頭村(くにがみそん)にある、大自然に囲まれた宿泊・研修施設です。村が整備した公的な施設ですが、一般の観光客も利用できます。
ここには、車椅子でも快適に過ごせる「ユニバーサルルーム」が1室用意されています。バリアフリートイレも完備されており、安心して宿泊できるのが魅力です。
価格は素泊まりでツインルームが8800円前後からです(2025年12月現在の価格)。観光地化された場所とは違う、静寂な森の時間を過ごせるのが何よりの魅力です。
公共施設を利用する際の注意点
公共系の施設は、一般的なホテルとは異なるルールがあります。タオルや歯ブラシなどのアメニティは有料、ベッドメイクや部屋の掃除はセルフサービスの場合が多いです。
予約は公式HPや旅行サイトからも可能ですが、「ユニバーサルルーム」の空室状況とバリアフリー設備の詳細や、細かな要望を伝えるためには電話での確認をおすすめします。
予約から現地移動まで!沖縄旅行を成功させる必須ノウハウ
宿が決まったら、次は予約と移動手段の確保です。ここでは、トラブルを避けるための予約のコツや、現地の移動手段について詳しく説明します。
ネット予約だけは危険?「電話一本」でトラブルを回避する方法
ネット予約は便利ですが、備考欄に記入するだけでは不十分なことがあります。予約をする前に、必ずホテルへ直接電話をかけて詳細を伝えて確認しましょう。
これは、現場のスタッフに情報が伝わっておらず、当日になって困ることを防ぐためです。電話では、「車椅子の種類(手動か電動か)」や「同伴者がどの程度手助けできるか」を具体的に伝えます。
入浴やトイレでどのような手助けが必要かも伝えておくと、受け入れ準備がスムーズになります。
現地の足はどうする?「福祉レンタカー」と「介護タクシー」の予約
沖縄観光において、移動手段の確保はホテル選びと同じくらい大切です。特に車椅子を乗せられる「福祉車両」は、一般の車に比べて台数が非常に少ないのが現状です。
「福祉車両」とは、身体の不自由な方や高齢の方、介護する方にとって、使いやすいように工夫された自動車のことです。
ゴールデンウィークや夏休みなどの繁忙期には、3ヶ月前でも予約でいっぱいになることがあります。そのため、レンタカーの確保は航空券予約よりも早めにするくらいの気持ちで動くことをおすすめします。
福祉車両を専門に扱うレンタカー会社へ直接問い合わせるのも有効な方法といえます。
困った時の駆け込み寺!那覇空港「沖縄バリアフリーツアーセンター」
那覇空港に到着したら、まずは「沖縄バリアフリーツアーセンター」へ立ち寄ってみてください。場所は国内線到着ロビーの1階、中央エレベーターの向かいにあります。
ここにはバリアフリー観光の専門家がいて、ネットには載っていない最新の情報を教えてくれます。
そのほか、車椅子やベビーカーのレンタル、介助が必要な場合のサポーターや介護タクシー、福祉車両レンタカーの相談・紹介にも対応しています。
まとめ
沖縄には、リゾートから格安の公共施設まで、障がいがあっても楽しめる宿がたくさんあります。大切なのは、自分に必要な設備を明確にし、予約前に必ず詳細を確認することです。
そして、移動手段を早めに確保すれば、沖縄旅行はもっと身近になります。この記事を参考に、まずは気になる宿へ問い合わせてみましょう。素晴らしい旅の思い出作りを応援しています。
あとがき
以前、沖縄に車椅子の家族と旅行した際、宿選びにはとても苦労しました。障がいを持つ方にとって、ホテルの環境は旅の楽しさを左右する大切なポイントです。不安なく快適に過ごせたおかげで見られた、家族の笑顔が今でも忘れられません。
その経験から、少しでも皆さんの旅の不安を取り除きたいと思い、この記事をまとめました。沖縄での時間が、素敵な思い出になりますように。


コメント