沖縄の美しい海は多くの観光客をひきつけますが、年間多くの水難事故が起きています。ハブクラゲや離岸流など、本州とはちがう危険もたくさんあります。でも正しい知識とプロのサポートがあれば、だれでも安全に海を楽しめます。この記事では、世界レベルの訓練を受けたライフガードと最新技術による安全対策、そして今すぐ実践できる安全ルールをわかりやすく説明します。
1. 沖縄の海の3大危険とその対策
沖縄の海には、本州の海とはちがう特別な危険があります。美しいサンゴ礁やエメラルドグリーンの海は魅力的ですが、知らないと大きな事故につながることもあります。まず知っておくべき3つの危険について説明します。
1. 透明で見えないハブクラゲ
6月から10月にかけて、沖縄の海には透明なハブクラゲが現れます。このクラゲは透明で見つけにくく、刺されると激しい痛みと赤いミミズ腫れができます。沖縄県の最新データによると、年間30〜40件程度の被害が報告されています。
対策としては、肌の露出を防ぐラッシュガードやウェットスーツを着ることです。ビーチに設置された防護ネットの中で泳ぐのも効果的です。もしさされてしまったら、海水で洗い流して酢をかけると毒針の発射をおさえる効果があります。
2. 見えない海の流れ、離岸流
離岸流は岸から沖に向かって流れる強い潮の流れです。見た目ではわかりにくく、泳ぎの得意な人でも流されてしまうほど強い流れです。
沖縄県警察の統計によると、2023年には128件の水難事故が発生し、死者45名の方が命を落とし、行方不明者が2名でています。
離岸流は、まわりとちがう色の水域や、泡やゴミが沖に流れている場所で発生しやすいです。もし流されてしまったら、岸に向かって泳ぐのではなく、横に泳いで流れから抜けてください。パニックにならず、落ち着いて行動すれば助かる可能性が高くなります。
3. 美しいサンゴ礁でのケガ
沖縄の海の魅力であるサンゴ礁ですが、とても鋭く、カミソリのような切れ味があります。サンゴで切った傷は治りが遅く、海の細菌が入ると化膿することもあります。
マリンシューズやフィンを必ず着用し、サンゴには絶対に触らないようにしてください。潮の満ち引きによって水の深が変わるので、干潮時はより注意してくださいね。
2. ライフガードが少ないという現実

沖縄には県が管理する21カ所の海水浴場がありますが、県内には他にも多くのビーチがあります。ほとんどでライフガードが不在という状況で、ライフガードの数は十分とは言えません。
このような状況では、特に観光客が多く訪れるビーチでの安全確保が難しくなります。ライフガードの不足は、海の危険性を十分に理解していない観光客にとって、大きなリスクとなります。
安全な海水浴を楽しむためには、ライフガードの配置を増やすなどの対策が必要です。沖縄の海を安心して楽しめる環境を整備することが、今後の観光振興にとっても大切な課題となっています。
では、観光客を守るライフガードは、どのような訓練を受けているのでしょうか。
3. 世界基準のライフガード訓練と救助技術
沖縄のライフガードは、世界トップクラスのハワイ式訓練を受けています。ハワイでプロのライフガードになるための基準は世界でも最高レベルで、その技術を沖縄で学べるようになっています。将来的にはライフガードの国家資格化も検討されているようです。
ライフガードの救助技術向上への取り組み
沖縄県ライフセービング協会では、水辺の事故ゼロを目指し、ライフガードの技術向上に取り組んでいます。ライフセービングの本場であるハワイから専門講師を招き、石垣市米原海岸などで実践的な救助訓練を実施しています。
ボートやチューブを使った救助方法、冷静な連携技術など、プロフェッショナルな救助技術の習得を通じて、沖縄の美しい海の安全確保に努めています。
座間海水浴場では、4月19日から11月30日までの約7か月間海水浴場で監視活動を行っています。透明度の高い海では、美しさに魅了されて深く潜りすぎる観光客も多いため、ライフガードは事故を未然に防ぐ体制が整っています。
次の章では障害を持ちながらもプロのライフガードとして活躍している女性をご紹介します。
4. 座間味村で活躍する女性ライフガード

座間味村の美しいビーチで、聴覚に障害を持ちながらもプロのライフガードとして活躍する横手奈都紀さん。彼女は、阿真ビーチや古座間味ビーチといった観光客に人気の場所で、日々海の安全を見守っています。
横手さんは聴覚に頼れない分、横手さんは「とにかくよく見ること、起こりうる事故を予測すること」を心がけ、経験を積み重ねながら海の安全確保に取り組んでいます。
彼女は沖縄県ライフセービング協会の職員でもあり、ライフガードとしての高度な訓練と知識を兼ね備えています。
また、ろう者向けのライフセービング講習会ではアシスタントとして参加し、障害のある人もライフセービング活動で活躍できる道を切り開いています。
むしろ、その困難を乗り越え、誰よりも熱心に、そして情熱を持って仕事に取り組む姿は、多くの人々に勇気を与え、障害があってもプロとして活躍できることを証明しています。
5. 今すぐできる5つの安全ルール
ライフガードがいても、自身の安全対策は不可欠です。ここでは、誰でも実践できる5つの安全ルールを紹介します。ルールを守り、事故リスクを大幅に減らしましょう。
ルール1:ライフガードにあいさつする
海に入る前に、できるだけライフガードステーションに立ち寄ってあいさつしましょう。顔を覚えてもらうことで緊急時の発見が早くなりますし、その日の海の状況や注意点も教えてもらえます。
ルール2:遊泳エリアを守る
赤旗は遊泳禁止、黄旗は注意、青旗は安全を示しています。赤旗のときは絶対に海に入ってはいけません。黄旗のときはライフガードの近くで遊びましょう。
ルール3:お酒を飲んだら海に入らない
アルコールが入ると判断力が鈍り、体温調節もうまくできなくなります。水難事故に遭う可能性が高くなります。ビーチでの飲酒は楽しいですが、海に入るのはやめましょう。
ルール4:子供から目を離さない
常に子供から目を離さないことを心がけてください。スマホのチェックは子供が陸に上がってからにしましょう。浅い場所でも溺れることがあるので、常に見守ってあげてくださいね。
ルール5:無理な救助はしない
溺れている人を見つけても、自分で助けに行ってはいけません。大声でライフガードを呼び、浮くものを投げてください。ペットボトルやクーラーボックスなど、なんでも浮力になります。では、実際に助けられた人はどのような体験をしたのでしょうか。
6. ライフガードに助けられた体験談
ここでは、実際に私が体験した、沖縄の海でライフガードに助けられた人について紹介します。
離岸流からの生還
私が恩納村のビーチで見かけた出来事です。一人で泳いでいた男性が、気づいたら沖に流されていました。男性は必死で岸に向かって泳いでいるけど、全然進んでいる様子がありません。心配して見ていたらライフガードが助けに行きました。
後で聞いてみたら、男性は離岸流に逆らって泳いでいたため、かなり体力を消耗していたそうです。ライフガードがいなければ溺れていたかもしれません。
ハブクラゲ被害
私が泳ぎに行こうとした時、浅瀬で遊んでいた子供が急に泣き叫ぶのを聞き、足を見ると赤い線が何本もありました。ハブクラゲではないかと思い、すぐにライフガードを呼びました。すぐ応急処置をしてくれ、家族が病院に連れていきました。彼らの適切な処置のお陰で大事には至らなかったようです。
これらの話から、海の危険性とライフガードのありがたさを感じてもらえると思います。
まとめ

沖縄の海は、その美しさの裏に特有の危険も潜んでいます。しかし、世界トップレベルのライフガードが、私たちの安全を力強く支えています。そして何より、私たち自身の安全意識が事故を防ぐ鍵となります。
この記事で触れた危険と対策、そして自分で実践できることを心に留めて、沖縄の素晴らしい海を最大限に楽しみましょう。安全への配慮が、きっと最高の思い出へと繋がるでしょう。
あとがき
私自身、趣味でよく素潜りに出かけるため、ライフガードの方をみかけます。彼らはいつも声をかけてくれて、海のコンディションを教えてくれます。ライフガードの皆さんがいるというだけで、大きな安心感に包まれます。
彼らの存在には、心からの尊敬と感謝しかありません。SNSなどで彼らの訓練の様子を見たことがありますが、想像を絶するほどハードなトレーニングを積んでいることに驚かされます。
世界最高レベルの資格を取得し、常に沖縄のビーチを監視しているというプロ意識にはただただ感動するばかりです。私たちの見えないところで、これほどまでに海の安全を守ってくれているライフガードの方々には、改めて深い感謝を伝えたいです。
コメント