沖縄の街並みを歩くと目に入る幾何学模様の透かしブロック「花ブロック」をご存知でしょうか。戦後の沖縄で誕生したこの建築資材は、強い日差しを遮りながら心地よい風を通す知恵が詰まった沖縄産デザインの象徴です。本記事では、花ブロックの歴史から最新の活用事例、観光で訪れたい場所まで詳しく解説します。
沖縄の風土が育んだ花ブロックの誕生と歴史
沖縄の街角でふと目に留まる、幾何学模様の透かしが美しい「花ブロック」は、第二次世界大戦後の沖縄において、米軍から伝わったコンクリート技術をベースに独自の変化を遂げた沖縄産の伝統的な建築資材です。
単なる建材としての枠を超え、戦後復興の歩みと共に歩んできたその姿は、今や島のアイデンティティそのものと言っても過言ではないでしょう。
この画期的なブロックは、建築家・仲座久雄氏が、沖縄特有の厳しくも美しい自然環境に適応するために生み出したとされています。
沖縄の猛烈な夏の日差しを柔らかく和らげつつ、湿気を逃がし、台風時の強風を受け流すための「風通し」を確保するという、先人の深い知恵と工夫がこのデザインの始まりなのです。
~戦前、沖縄は木造建築ばかりでした。終戦後、米軍が軍の施設や住宅を作る
ために手動のブロック製造機を沖縄に持ち込みます。
それを見て、アメリカからカタログを取り寄せて機械を自作した地元企業がありました。そして翌年には、沖縄で最初のブロック製造業者が創業します。
木造建築は度々台風で壊れてしまいますし、かといって金属は潮風で傷んでしまうため使えません。コンクリート建築は台風による被害に強く、シロアリにも蝕まれず、潮風にも影響されません。それまでの沖縄の住まいの悩みを解消してくれる素材だったのです。
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機能美と芸術性が融合した復興のシンボル
資材が不足していた戦後の復興期、安価で非常に高い耐久性を誇るコンクリートは、人々の暮らしを守るための要(かなめ)でした。
一方で、コンクリート特有の殺風景になりがちな壁面に彩りを与え、住まいを美しく飾り立てる装飾的な手段として、多種多様でモダンな幾何学模様のデザインが次々と考案されていきました。
こうして生まれた花ブロックは、一般の住宅から学校、役所といった公共施設に至るまで、沖縄県内全域に瞬く間に普及していきました。
現在では、建物の内と外をゆるやかに繋ぎ、光と影のコントラストを描き出す沖縄を象徴する唯一無二の景観を作り上げる、欠かせない文化的要素として大切にされています。
「外からの視線を遮りながら、光と風だけを招き入れる。」そんな贅沢な暮らしの知恵が、一つひとつのブロックに込められています。
- 戦後復興の象徴としてコンクリート建築と共に普及した歴史的背景がある
- 沖縄の強い日差しを遮る日除け(シェード)としての高い機能性を持つ
- 十字型や円形など数え切れないほどのバリエーション豊かな模様が存在する
このブロックは単なる壁ではなく、外からの視線を遮りながらプライバシーを守りつつ、自然の恩恵を最大限に引き出す先人の知恵の結晶なのです。
現在も沖縄県内のブロックメーカーによって製造が続けられており、伝統を守りながら進化を続けています。
観光客を魅了するデザイン性と写真映えの秘密
近年、花ブロックはそのレトロでモダンな佇まいから、SNSを中心に若年層や観光客の間で大きな注目を集めています。
コンクリートの無機質な質感と、そこから漏れる光と影のコントラストは、時間帯によって表情を変える幻想的な空間を演出します。
男女を問わず、建築好きや雑貨好きの人々が、その造形美を求めて県内各地の古い建物を巡る姿も珍しくありません。
- 太陽の動きに合わせて変化する影のアートが地面や壁に映し出される
- シンプルながら洗練されたデザインは、どんなファッションの背景にも馴染むでしょう
花ブロックは、沖縄の「古いけれど新しい」魅力を体現しており、歴史を知らなくても直感的に「素敵」と感じさせる力を持っていると思います。
旅の思い出として、街角で見つけたお気に入りの模様を写真に収めるのも、現代の沖縄観光の楽しみ方の一つと言えるでしょう。
インテリアや雑貨への応用と現代の活用事例
本来は外壁として使われる花ブロックですが、最近ではそのデザイン性の高さからインテリアのアクセントとしても活用されています。
カフェの内装でパーテーション(仕切り)として使われたり、ホテルのロビーで照明を組み合わせた装飾として使われるケースが増えています。
また、本物のブロックを小さくしたミニチュア版や、花ブロックの模様をモチーフにしたコースターや雑貨も販売されています。
重たいコンクリートを持ち帰るのは大変ですが、こうした関連グッズは自分用や大切な人への沖縄土産として全年齢層に選ばれています。
このように、伝統的な用途を超えて現代のライフスタイルに溶け込んでいる点も、花ブロックが長く愛され続ける理由の一つです。
日常に溶け込む芸術!花ブロックを探す「島歩き」のススメ
沖縄観光の合間に花ブロックの造形美を存分に楽しむなら、ガイドブックに載っている有名な観光施設を訪れるだけでなく、あえて地元の人々が暮らす古い住宅街や、活気ある商店街の裏路地をゆっくりと散策してみるのが何よりのおすすめです。
観光地化されていない場所だからこそ、長い年月を経て風化したコンクリートの質感や、人々の生活に馴染んだ「生きたデザイン」に出会うことができるでしょう。
例えば、歴史情緒あふれる那覇市の首里周辺や、独特のチャンプルー文化が息づくコザ(沖縄市)の街並みには、職人のこだわりが感じられる味わい深いブロック壁が今も大切に残されています。
ひんやりとした影を落とすその壁沿いを歩けば、まるで昭和の沖縄にタイムスリップしたかのような、不思議と心地よいノスタルジックな気分に浸ることができるでしょう。
家族で楽しめる「模様探し」のアクティビティ
小さなお子様を連れたご家族であれば、街歩きを一つのエンターテインメントに変えてみてはいかがでしょうか。
実は公園の東屋(あずまや)の装飾や、何気ない公衆トイレの壁面、さらにはバス停の待合所など、公共のスペースにも驚くほど多彩な花ブロックが隠されています。
「今日は星の形を探そう」「次は丸い模様を見つけよう」と声を掛け合うだけで、移動の時間は最高に面白い「デザイン探し」のアクティビティに早変わるでしょう。
一つひとつ異なる幾何学模様の向こう側に何が見えるかを探しながら歩くことで、普段の足早な観光ではつい見落としてしまいがちな、沖縄のありのままの日常に潜む美しさに触れることができるはずです。
ファインダー越しに切り取る光と影のコントラストは、旅が終わった後も色褪せない素敵な思い出の1ページとなるでしょう。
足元に伸びる影の形を追いかけながら、自分だけのお気に入りの模様を見つける。そんな、ゆったりとした時間の使い方が沖縄での最高の贅沢かもしれません。
どの世代にとっても、花ブロックは沖縄らしさを感じる共通のシンボルです。派手なアトラクションではありませんが、そこにある静かな存在感は、旅の疲れを癒やし、心を穏やかにしてくれる不思議な魅力になると思います。
未来へ繋ぐ沖縄のアイデンティティと花ブロック
現在、沖縄では建物の老朽化や建築様式の変化に伴い、古い花ブロックが姿を消しつつあるという課題も抱えています。
しかし、その価値を再評価する動きも活発で、リノベーション物件で積極的に再利用されるなど、次世代への継承が進んでいます。
花ブロックは単なるモノではなく、厳しい自然環境と向き合ってきた沖縄の人々のアイデンティティの一部と言っても過言ではないでしょう。
観光客の方がその魅力を認め、発信していくことは、沖縄の文化や景観を守る支援にも繋がっていきます。
私たちが沖縄を訪れた際に花ブロックを愛でることは、その背後にある豊かな歴史と文化を敬うことでもあります。
次に沖縄を訪れる際は、花ブロックに込められた大きな物語に、ぜひ想いを馳せてみてください。
まとめ
花ブロックは戦後の沖縄で生まれた知恵の産物であり、日差しを遮り風を通す機能美と、幾何学模様の造形美を兼ね備えた唯一無二の存在です。
現在は観光客のフォトスポットやインテリア雑貨としても人気で、性別や年齢を問わず多くの人を惹きつけています。
歴史的な背景を知ることで、街歩きはさらに楽しく豊かなものになります。沖縄産の誇りである花ブロックを巡り、光と影が織りなす美しい景観を楽しみながら、沖縄の心に触れる旅に出かけてみてはいかがでしょうか。
あとがき
沖縄の街角にひっそりと佇む花ブロックですが、その模様の一つひとつに厳しい自然と共生してきた人々の温かな知恵が詰まっていることを知り、胸が熱くなりました。
単なる建築資材としてではなく、光と影が織りなすアートとして眺めてみると、いつもの沖縄旅行がさらに奥深く、情緒あふれる特別な時間に変わっていくような気がします。


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