美浜アメリカンビレッジ(北谷町)周辺は、ここ数年で日帰りスポットから宿泊エリアへと変わってきました。景観のルール・維持する仕組み・夜の選択肢・宿泊施設という4つの条件が少しずつ揃ってきたことが、その大きな要因といえるでしょう。この記事では、自分の地域や担当業務に当てはめて考えるためのヒントを整理しています。担当者別のチェックリストも用意していますので、ぜひ自分の仕事にすぐ当てはめてみてください。
美浜アメリカンビレッジのまちづくりを変えた4つのポイント
美浜アメリカンビレッジ周辺の変化を一言で言うと、「泊まりたくなる仕掛けを少しずつ積み重ねてきた町」といえるでしょう。見た目がきれいになった、お店が増えたというだけでは説明しきれない変化が、この町には起きています。見た目の変化の前には必ずルールや制度の整備があって、4つのポイントが互いに支え合っているところが特徴です。
- 景観のルールと歩きやすさ:町の見た目を揃えるルールがあることで、自然と歩き回りたくなる雰囲気が生まれています。
- エリアを維持する仕組み:費用の出どころと維持体制を整えることで、まちづくりが長続きするようになっています。
- 夜の楽しみ方:夜まで残りたくなる選択肢が増えることで、宿泊につながっています。
- 泊まれる場所の選択肢:泊まれる場所が増えることで、消費できる時間帯が長くなっています。
美浜アメリカンビレッジが宿泊型に変わり始めたきっかけ
なぜ美浜アメリカンビレッジはここまで変わることができたのでしょうか。その背景を2つの視点から整理してみます。
北谷の観覧車跡地に新ホテルが建つ意味
美浜アメリカンビレッジのシンボルだった観覧車が解体され、その跡地には地上18階建てのホテルが開業しました。多くの人に親しまれたランドマークが消えることは少し寂しくもありました。
しかし、観覧車が「昼間に眺めるもの」だったのに対して、ホテルは「夜もそこにいる理由を作るもの」です。この変化は、美浜アメリカンビレッジ(北谷町)が宿泊型のまちづくりへ向けて歩み始めていることを示しているといえるでしょう。
日帰り型の観光地が抱えやすい課題
日帰り型の観光地には、ある段階から共通して起きやすいことがあります。集客数がある程度まで伸びたとき、次のような壁にぶつかることが多いといわれています。
- 夜に残る理由がないため、夕食やホテルなどの消費が生まれにくいです。
- 一回来れば満足してしまい、また来たいと思ってもらいにくいです。
- エリアの中をゆっくり歩き回る流れが生まれにくく、滞在時間が短くなりがちです。
宿泊してもらうためには、ホテルを建てるだけでは足りません。夜に楽しめる場所があること、歩いて回りやすいことが同時に揃って初めてうまく機能するといえるでしょう。美浜アメリカンビレッジ周辺では、こうした条件をひとつひとつ整えてきた様子が見て取れます。
美浜アメリカンビレッジのまちづくりを支えた4つの取り組み
では、どのような取り組みがこの変化を支えてきたのでしょうか。景観・運営・夜・宿泊という4つの視点から見ていきます。
景観ルールが町の統一感と歩きやすさをつくる
統一感のある町並みは、ただ「きれい」なだけではありません。外壁のデザインや看板のトーンが揃っていると、歩く人が迷いにくくなり、自然と立ち止まって周りを見回したくなります。北谷町は景観行政団体として景観計画を定めており、エリア内の建物や看板についてのルールが整備されています。美浜アメリカンビレッジ周辺の統一感を長く保つ土台になっているといえるでしょう。
アメリカンビレッジ周辺は、屋外のベンチやテラス席が多く、コンパクトな範囲にショップやカフェが集まっています。お目当てのお店から別のお店へ移動する途中にも楽しめるものがあるため、短い時間でも満足感が得やすい動線になっているといえるでしょう。
エリアを長く続けるための費用と仕組み
景観のルールを維持し続けるには費用と人手が必要です。エリアが長く続くかどうかは、誰がどうやって費用を出すのかという仕組みにかかっているといえるでしょう。内閣官房・内閣府はこうした取り組みについて次のように説明しています。
~エリアマネジメントとは、特定のエリアを単位に、民間が主体となって、まちづくりや地域経営(マネジメント)を積極的に行おうという取組です。~
「地域再生エリアマネジメント負担金制度」は、エリア内の事業者が費用を出し合い、町の維持や活動を続けるための制度です。自治体を通じて費用が運営団体に届く仕組みで、民間と行政が力を合わせて町を支えています。
夜の選択肢が宿泊のきっかけになる
日帰りと宿泊の一番の違いは「夜に何があるか」です。夜に楽しめることがあるかどうかで、「もう一泊しようかな」という気持ちが生まれるかどうかが決まってきます。この「夜」をどう設計するかが、町の滞在時間に大きく影響するといえるでしょう。
夜に人が町に残るためには、まず「夜でも安心して歩けること」が基本になります。町灯が整っていて、夜でも開いているお店があることが、夜の滞在を支える土台になっています。
花火や夕日などの体験は写真映えしやすく、SNSで広がって「この町に泊まってみよう」と思う人を増やすことにもつながるでしょう。美浜アメリカンビレッジ周辺では定期的に花火が開催されており、夜を目当てに訪れる人も多くいます。
宿泊施設が増えると町の消費時間が伸びる
観覧車の跡地にはリーガロイヤルリゾート沖縄 北谷が開業し、ヒルトン方面をはじめアメリカンビレッジ周辺でも新しいホテルが相次いで開業しています。高単価のリゾートホテルだけでなく多様なタイプの宿が揃ってきたことで、「泊まっていける町」として美浜アメリカンビレッジを選ぶ人が増えてきているといえるでしょう。
宿泊者が増えることで夜の飲食やショッピング、体験などの消費が生まれます。この流れが続くことで町全体の魅力が積み上がり、リピーターが増えていくといえるでしょう。
自分の地域に当てはめるチェックリスト
美浜アメリカンビレッジ(北谷町)周辺で起きていることを参考に、4つのポイントのどれが自分の地域や仕事に当てはまるかを考えると、次に何をすればいいかが見えてくるでしょう。現在の状況と照らし合わせる参考として使ってみてください。
美浜アメリカンビレッジと他地域を4つのポイントで比べる
| ポイント | 美浜アメリカンビレッジで見られること | 他の地域や仕事での応用例 |
|---|---|---|
| 景観のルール | 景観行政団体として景観計画を策定し、維持を続けています。 | 景観計画がすでにあるかを確認し、事業者に説明できる場を作ってみてください。 |
| 維持する仕組み | エリアマネジメント制度を活用した民間と行政の連携が進んでいます。 | 地元の事業者と話し合いを始め、費用を分担する方法や使える制度を調べてみてください。 |
| 夜の楽しみ方 | 定期的な花火や海沿いの夜の雰囲気づくりが続けられています。 | 夜に開いている場所と町灯の状況を整理することから始めてみてください。 |
| 宿泊の選択肢 | 高単価ホテルから手軽な宿まで、選択肢が増えてきています。 | 今ある宿泊施設の種類と、どんなタイプが足りていないかを把握してみてください。 |
担当者別 まず試してほしいこと
立場によって動きやすい部分は変わってきます。いきなり大きなことを始める必要はなく、自分に近いものから一つ試してみてください。
- 自治体の担当者の方へ:景観計画や地域再生計画の整備状況を確認し、エリアマネジメント制度が使えるかどうかを調べてみてください。
- 地域の事業者・商業施設の方へ:夜に開いているコンテンツを把握したうえで、近くの事業者と情報を共有できる場を作ることから始めてみてください。
- 観光・メディア担当の方へ:「日帰り向け」と「宿泊向け」の情報発信を分けて整理し、読む相手に合わせた内容に見直すことを検討してみてください。
まとめ
美浜アメリカンビレッジ(北谷町)のまちづくりが変わった理由は、景観のルール・維持する仕組み・夜の楽しみ方・宿泊の選択肢という4つのポイントが少しずつ重なり合ってきた結果といえるでしょう。4つが少しずつ整ってきたことで、泊まりたくなる町ができてきたように見えます。「今、どの部分が足りていないか」を考えることが、次の一歩につながるでしょう。
あとがき
私はよく北谷町を訪れますが、この町を歩くたびに、まちづくりはまだ続いているのだと感じます。観光地がにぎわうのは偶然ではなく、このまちづくりを設計してきた人たちの積み重ねがあるからだと、この町を見ていると改めて思います。まちづくりに関わるすべての方に、少しでも参考になることがあればうれしく思います。

コメント