「これはナントゥー(なんと)いう食べ物ですか?」はじめて目にする人ならばついこの疑問を口にしてしまう、そんなナントゥーは派手さはないものの、沖縄の暮らしと行事に深く根づいた伝統菓子です。本記事では、ナントゥーとは何か、どんな味で、どのように親しまれてきたのかを、沖縄文化が初めての方にもわかりやすく解説します。
第1章:ナントゥーとは何者?沖縄で受け継がれてきた素朴なお菓子
ナントゥーは、観光土産ではあまり見かけない沖縄菓子です。まずは「そもそもナントゥーって何?」という基本から整理していきましょう。
ナントゥーの基本情報(読み方・表記の揺れ)
結論から言うと、呼び方が一つに決まっていないのがナントゥーです。
ナントゥー、なんとぅ、ナントゥなど表記はさまざまで、どれも間違いではありません。レシピ本や全国基準がない分、名前も自由。そこが沖縄菓子らしい、ゆるさであり魅力でもあります。
ナントゥーはいつから食べられてきた?
ナントゥーの正確な起源は、はっきり残っていません。理由はシンプルで、もともと家庭料理として作られてきた行事菓子だからです。特別な記録に残すものではなく、「家で作って、家で食べる」が当たり前でした。
「年頭」がなまってナントゥーとなった、という説があり、もともと正月に食されるのものだったとされています。正月以外にも旧盆や法事など、人が集まる場で振る舞われる、暮らしに寄り添ったお菓子だったのです。
和菓子でも洋菓子でもない「沖縄菓子」というジャンル
ナントゥーは本土の和菓子とは少し違います。見た目は饅頭に近いものの、実際は餅粉を使った餅菓子で、甘く調味した味噌を生地に練り込んで蒸すのが特徴です。
華やかさよりも実用性を重んじ、身近な材料で無理なく作られる点に、沖縄菓子らしさが表れています。
第2章:ナントゥーの味と見た目を徹底解剖
ナントゥーは、第一印象だけでは味が想像しにくいお菓子です。ここでは、味・生地・見た目の特徴を順に見ていきます。
最大の特徴は“甘い味噌の風味”
ナントゥー最大の特徴は、甘く調えた味噌の風味です。味噌を生地に練り込むことで、噛むほどに甘じょっぱい味わいが広がります。
砂糖が貴重だった時代、「甘い=ごちそう」という価値観のもと、この甘じょっぱい味は特別なものとして親しまれてきました。
~もち粉に、琉球王国時代から親しまれている沖縄島胡椒ピィパーズ(ヒハツ)、赤味噌などを加えて、
月桃の葉と一緒に蒸したスパイシーで甘しょっぱい味わいのクセになる餅菓子です!~
生地は何でできている?餅粉が基本
ナントゥーの生地は、基本的に餅粉を使います。蒸すことで、しっとりとした弾力が生まれ、素朴ながら食べ応えのある食感になります。
配合や水分量は家庭ごとに異なるようです。そんなところも「きっちり決めない」沖縄菓子らしさが表れています。
見た目は地味?でもそれがナントゥーらしさ
正直、見た目はかなり地味です。半月型や俵型など形は何通りかありますが、色味は控えめです。月桃の葉を敷いて蒸すこともありますが、映えを意識した菓子ではありません。
ただ、この飾らなさこそが家庭菓子としての証であり、沖縄の生活感がにじみ出ています。
第3章:ナントゥーはいつ食べる?行事・暮らしとの深い関係
ナントゥーは、好きなときに気軽に食べるおやつではありませんでした。そこには、沖縄独特の行事文化が関係しています。
旧盆・法事・年中行事での役割
ナントゥーはお供え菓子として、正月や旧正月をはじめ旧盆や法事など、主に祖先を迎える行事の場で用いられます。供えた後は、家族で分け合って食べるのが一般的でした。
日常のおやつではなかった理由
昔の沖縄では、砂糖は貴重な食材でした。そのため甘い菓子は特別な日のものとされ、ナントゥーもハレの日に食べる菓子として位置づけられていたと考えられます。
現代の沖縄ではどう扱われている?
現在、家庭でナントゥーを作る機会は減っています。一方で、郷土菓子としてその価値が見直され、地域イベントや物産展などで紹介されることもあります。ナントゥーは今も、静かに次の世代へ受け継がれていると言えるでしょう。
第4章:ナントゥーの作り方|家庭で再現できる素朴レシピ
ナントゥーは特別な技術がなくても作れる、家庭向けのお菓子です。ここでは、初めての方でもイメージしやすいよう、大まかな流れを紹介します。
基本材料(特別なものは必要なし)
基本は餅粉、味噌、砂糖、水のみ。特別な道具や高級食材は必要ありません。この手軽さこそが、ナントゥーが家庭で受け継がれてきた理由といえるでしょう。
ナントゥー作りの大まかな流れ
工程はとてもシンプルです。餅粉に水と砂糖、味噌を加えて生地を作り、よく練ったら成形して蒸します。中に餡を包む工程がないため、比較的失敗しにくいのも特徴です。料理が得意でない方でも挑戦しやすい作り方です。
失敗しやすいポイントとコツ
注意したいのは、生地の水分量です。硬すぎると蒸し上がりが重くなり、柔らかすぎると形が崩れやすくなります。少しずつ水を加え、蒸し上がりの弾力を見ながら調整するのがコツです。
家庭ごとのアレンジが許される懐の深さ
ナントゥーに「絶対の正解」はありません。甘さの加減や味噌の量は家庭ごとに異なり、それが当たり前でした。この自由さこそが、ナントゥーが家庭のお菓子として続いてきた理由と言えるのかもしれません。
第5章:ナントゥーはどこで買える?現代の入手方法
「食べてみたいけど、どこで売っているの?」多くの人がここでつまずくのがナントゥーです。
沖縄のどこでも買えるわけではない現実
実は、ナントゥーは簡単には見つかりません。日持ちや大量生産に向かないため、大手土産店に並ぶことは少なく、「知っている人だけが知っている」沖縄菓子となっています。
手に入る可能性が高い場所
見つかるとすれば、地域に根ざした場所です。昔ながらの和菓子店や、伝統菓子を扱うイベント、物産展などで出会えることがあります。
地元スーパーなどでも通年販売されています。しかし沖縄の伝統行事に当たる日でない限り、確実に入手可能と言えるほど充分な品数が揃えられているわけではありません。出会えるかどうか、まさに縁次第のお菓子と言えるでしょう。
見つからない場合の現実的な選択肢
一番確実なのは、自分で作ることです。材料も工程も難しくないため、「買えないなら作る」という選択が現実的です。作る過程ごと味わえるのも、ナントゥーならではの楽しみ方です。
第6章:ナントゥーを知ると沖縄文化がもっと面白くなる理由
ナントゥーは、ただのお菓子ではありません。そこには、沖縄らしい価値観が詰まっています。
派手じゃないからこそ文化が見える
ナントゥーは、とにかく地味です。しかし、材料の少なさや簡素な作りからは、無理をしない沖縄の暮らし方が見えてきます。
名前も形も一つじゃない“曖昧さ”の魅力
ナントゥーには統一された正解がありません。家庭の数だけナントゥーがあり、それを認め合う文化が沖縄らしさです。
ナントゥーは「沖縄を味わう入口」
派手な観光土産とは違う沖縄があります。しかし、食文化から沖縄を知る入口として、ナントゥーほど分かりやすい存在はないと言えるのかもしれません。
まとめ
ナントゥーは、沖縄の暮らしや行事と深く結びついた伝統菓子です。その素朴な味わいには、「無理をしない」「決まりを作りすぎない」沖縄文化がそのまま表れているかのようです。
知れば知るほど、沖縄を身近に感じられるお菓子、それがナントゥーと言えるのではないでしょうか。
あとがき
ネットの情報では全般的に「ナントゥーは味噌味です」というような記述がなされていましたが、私自身が幼少期に食べた思い出では味噌の味なんて全然しない、むしろ黒糖的味わいの食べ物であったと記憶しています。
しかし、記事中にもある通りナントゥーには絶対の正解なんてありません。別に味噌味でなくてもよくない?といった感性で作られたタイプをチビッコ時代の私が食していた可能性も考えられ、そういったおおらかさがまさに沖縄的だなあ、と感じ入る次第です。


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