宮古島の奇祭パーントゥ!泥を塗られるとご利益がある?

沖縄県宮古島に古くから伝わる伝統行事「パーントゥ」。全身に泥をまとった神様が街を練り歩き、人々に泥を塗って厄払いをするという奇妙な祭りは、観光客やメディアの間でも注目を集めています。しかし、その奇抜さから「一体どんなお祭りなの?」と疑問に思う方も少なくないでしょう。本記事では、パーントゥの概要や行われる地域、儀式の様子などを詳しく解説します。

宮古島の奇祭「パーントゥ」とは?

沖縄県宮古島に古くから伝わる伝統行事「パーントゥ」は、宮古島市平良の島尻地区と宮古島市上野の野原(のばる)地区で伝承される、来訪神による厄払いの儀式です。

これらの行事を含む「宮古島のパーントゥ」は、2018年に日本各地の来訪神行事を束ねた「来訪神:仮面・仮装の神々」としてユネスコ無形文化遺産に登録されています。

島尻の行事は正式には「パーントゥ・サトゥプナハ(里願い)」と呼ばれ、年3回(旧暦3月末〜4月初、旧暦5月末〜6月初、旧暦9月初)行われます。3回目には仮面の来訪神が現れるため、特に「パーントゥ・プナハ」とも呼ばれます。

日程は旧暦に基づくため毎年異なり、開催の可否や日時は地元の案内で確認するのが確実です。「パーントゥ」は宮古の言葉で怪物・化け物などを意味し、祭祀に登場することで厄払いと五穀豊穣をもたらす来訪神とされます。

来訪神は通常3体で、木製の仮面を付け、蔓草のシイノキカズラを全身にまとい、聖なる井泉「ンマリガー」の泥を体に塗って集落を回ります。

人々に泥を塗ることで厄を払い、無病息災などのご利益があると信じられています。

一方、上野・野原の行事は「サティパライ/里払い」と呼ばれ、旧暦12月最後の丑の日に行われます。これらの儀式は、地域の文化や歴史を深く反映しており、それぞれの地区で大切に受け継がれています。

観光客の方が儀式を観覧する際は、それぞれの地区の伝統や風習を尊重し、地域住民の方々の迷惑にならないように配慮することが求められます。伝統行事の神聖さを理解し、静かに見守る姿勢が大切です。

儀式「来訪神」パーントゥの様子

儀式が始まると、全身に泥を塗ったパーントゥは、強い臭気を放ちながら集落を練り歩きます。来訪神は木製の面を付け、蔓草をまとい、誰彼かまわず人々に泥を塗りつけていきます。

この泥は聖なる井泉「ンマリガー」から汲み上げたもので、厄を払う力があると信じられています。パーントゥの姿は非常にインパクトがあり、初めて見る人は驚いてしまうかもしれません。

儀式のハイライトの一つは、新しいものに対する厄払いです。新築の家や新車など“新しいもの”を好んで訪れ、場合によっては家の中にまで上がって泥を塗ります。これは新しい場所から悪いものを追い出し、繁栄をもたらすための大切な作法とされています。

家主はパーントゥの訪問を厄払いとして歓迎し、酒などでもてなすこともあります。泥を塗られた家の人々は、一年間の無病息災と平穏な暮らしを願います。

パーントゥの姿や行動は、子どもたちにはとても怖く映ることが多く、儀式の最中には泣き叫びながら逃げ回る姿も見られます。しかし、これも儀式の一部であり、子どもに泥を塗る行為にも無病息災を願う意味が込められています。

こうした光景は一見すると異様に見えるかもしれませんが、島の人々にとっては受け継がれてきた伝統的な風景なのです。

泥を塗られるとご利益がある?

パーントゥに塗られる泥は、厄を払い、無病息災や家内安全、五穀豊穣などのご利益をもたらすと信じられています。泥は聖なる井泉「ンマリガー」由来で独特の強い匂いがあり、衣類に付くと落ちにくいことでも知られています。

パーントゥに泥を塗られることは、一年間の厄を落とし、新たな一年を清らかに過ごすための神聖な行為だと考えられています。そのため、縁起物として受け止めて歓迎する人が多い一方、苦手な人もいるため、互いに無理をしない配慮が大切です。

観光客の中には自ら泥を塗られようと近づく人もいます。汚れても良い服装(白や高価な服は避けるのが無難)や、タオル・着替えの準備がおすすめです。泥は強い匂いが残りやすいため、持ち物の防水・防汚対策もしておくと安心です。

会場では、パーントゥの面や衣装に触れない、行列や進行を妨げない、周囲の人や住宅に配慮して行動する、といった基本的なマナーを守りましょう。泥を塗られた場合、その場で拭かずに後でまとめて洗う人もいますが、対応は各自の判断で問題ありません。

観光客としてパーントゥを楽しむために

パーントゥは、地域住民にとって非常に大切な伝統行事です。観光客として訪れる際は、まずそのことを理解し、敬意を持って接することが大切です。儀式の妨げになるような行動や、パーントゥにむやみに触れたり、邪魔をするような行為は避けましょう。あくまで静かに見守るスタンスが求められます。

写真撮影をする際は、パーントゥの目の前でフラッシュを焚くなど、儀式の雰囲気を壊すような行為は控えるようにしましょう。また、泥を塗られても怒ったり、文句を言ったりするようなことはせず、儀式の一部として受け止める心構えが求められます。パーントゥを挑発するような行動も避けるべきです。

パーントゥは、逃げる人や怖がる子どもを追いかける傾向があるようです。もし泥を塗られたくない場合は、パーントゥがいる場所を避けて行動することも一つの方法です。

しかし、もし泥を塗られたら、それは幸運なことだと感謝の気持ちで受け止めると良いかもしれません。パーントゥとの出会いは、貴重な思い出になることでしょう。

パーントゥを通して宮古島の文化に触れる

パーントゥの儀式は、単なるお祭りではなく、宮古島の文化や歴史、そして人々の信仰心を深く知るための貴重な機会です。

この儀式を通して、島の住民がどれほどこの伝統を大切にしているかを感じることができます。数百年にわたって受け継がれてきた歴史の重みを感じる瞬間です。

地域住民にとって、パーントゥは子どもの頃から慣れ親しんだ、生活の一部です。怖がりながらも、パーントゥに泥を塗ってもらうことで、健康でいられると信じています。

この文化は、親から子へ、そして孫へと受け継がれていく、島のアイデンティティそのものと言えるでしょう。島民の絆を深める重要な役割も担っています。

パーントゥを体験することは、宮古島の深い文化に触れることにつながります。

奇抜な姿や行動の裏には、人々の切実な願いや伝統を守ろうとする強い想いがあることを知ることで、より一層、儀式を深く楽しむことができるかもしれません。宮古島の歴史や風土を理解するきっかけにもなるはずです。

まとめ

本記事では、宮古島の伝統行事「パーントゥ」についてご紹介しました。パーントゥは、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている、島尻地区と野原地区で行われる厄払いの儀式です。

観光客として訪れる際は、儀式の神聖さを尊重し、泥を塗られても、それはご利益があるという前向きな気持ちで楽しんでみましょう。パーントゥを通して、宮古島の深い文化に触れるきっかけになれば幸いです。

あとがき

宮古島のパーントゥについて調べているうちに、その奇抜な外見と儀式の内容に、最初は驚きを隠せませんでした。

子どもの頃から、怖がりながらもパーントゥに泥を塗ってもらうことで、健康を願う姿は、島の人々の温かさと伝統を守り続ける強い想いを象徴しているように感じます。

いつか機会があれば、私も現地でこの神聖な儀式を体験してみたいという気持ちになりました。この記事を通じて、パーントゥという素晴らしい伝統文化に興味を持つ方が増え、宮古島の魅力がより多くの人に伝わることを願っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました