沖縄に移住してはじめての台風シーズン、誰しも不安に包まれるものです 。ニュースで「暴風警報」や、車がひっくり返っている映像が出るたびに、車が飛ばされるのではないかと心配になり、準備に走り回った記憶があります。ところが地元のうちなんちゅに相談すると、返ってくる言葉はいつも「大したことないよ〜」の一言。この温度差、移住者なら絶対に共感できると思います。2026年はエルニーニョ現象の影響でこれからが台風本番といわれています。私が経験したリアルなエピソードを交えながらお伝えします。
2026年の沖縄台風はエルニーニョで空気が変わる
今年の台風シーズンは、例年とはっきり雰囲気が違います。2026年は1月から6月まで毎月台風が発生しており、1965年・2015年に続き3回目という異例のパターンです。移住者でも「今年は多くない?」と感じやすい年になっています。
1月から6月まで毎月台風が発生した異例の2026年
2026年は5月までに、すでに6個の台風が発生しています。平年より多く、日本への接近数も14個程度になるとみられています。6月に沖縄に来た台風2回とも、地元の人たちは「小さいから大丈夫」と言っていました。
スーパーエルニーニョで「強くてゆっくり」な台風が増えるとは
台風が多い背景にはエルニーニョ現象があります。2026年春からエルニーニョ現象が発生しているとみられており、JAMSTECの予測でも北西太平洋で熱帯低気圧の活動が平年より活発化すると予測されています。エルニーニョの年は「勢力が強くてゆっくり動く台風」が増える傾向があり、台風銀座と呼ばれる沖縄にとってシーズン後半は特に注意が必要です。
~エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。~
台風前日のスーパー買い出しあるある
「台風が来る前に買い出しをしよう」と思い立った移住者が最初に直面する洗礼があります。カップ麺だけでなく、スーパーの野菜やお肉の棚が空っぽになる現象があります。
夕方の買い物では野菜の棚が空っぽになる
私は台風が近づく前日の夕方5時ごろに、地元のスーパー「サンエー」へ向かいました。すると、野菜コーナーにはほとんど商品が残っていません。見事に野菜の棚が空っぽになっていたのです。店員さんに尋ねると「台風の前は、お野菜やお肉が夕方までに売り切れてしまうんですよ」と教えてくれました。
調べてみると、野菜が売り切れる理由は主に3つあるようです。沖縄の野菜は船や飛行機で県外から運ばれるため、台風で物流が止まってしまうことと、強風で畑の作物が傷んでしまうことです。そして、事前のまとめ買いが重なることです。
台風前に水屋さんのボトルが売り切れる理由
スーパーの次に驚いたのは、お水屋さんの様子でした。念のために飲料水を確保しておこうとお店に向かったところ、普段はたくさん並んでいるガロンボトルがすべて売り切れていたのです。店員さんのお話では、近隣に住むアメリカ人のみなさんが、台風に備えてまとめて購入していかれたとのことでした。
詳しい理由は分かっていないそうですが、台風の接近によって基地内への外出制限(ロックダウン)が出ると、しばらく外へ買い物に出られなくなるからではないかとお店の方がおっしゃっていました。
オール電化の住まいで大切な台風への備
オール電化のマンションに住んでいると、台風による停電で調理が難しくなることがあります。那覇周辺以外の地域ではプロパンガスの住宅が多く、停電時もガスが使える場合がありますが、IHの場合は事前の準備が必要です。
台風前に準備しておきたいカセットコンロとガスボンベ
那覇から離れたエリアの古い住宅ではプロパンガスを使っていることが多く、停電になっても調理ができる場合があります。新しいマンションではオール電化(IH)を取り入れている建物が増えており、停電になると調理器具が使えなくなります。
台風が近づく前にこのことに気づき、慌ててカセットコンロを探しました。本体は見つかったものの、ガスボンベの在庫が少なくなっていたのです。
懐中電灯の確認と親切な店員さんとのやり取り
私の停電対策の準備のなかで、懐中電灯の確認も大切です。何年も前に購入したものを取り出してみると、少し古いタイプで今のLEDライトに比べると暗く感じられました。乾電池の予備もなかったためにお店へ向かいましたが、手頃な価格の電池はほとんど売り切れの状態でした。
諦めて残っている電池を購入しようとしたとき、店員さんが「展示品コーナーの横に乾電池が置いてある」と教えてくれました。そのおかげで、無事に乾電池を確保できました。直前に慌てて用意するのではなく、品数が揃っている時期にLEDライトや乾電池を準備しておくことが大切だと実感しました。
以下に、IHマンションにお住まいの方が台風の前に用意しておきたいものを表にまとめました。
| 準備品 | 理由やタイミング |
| カセットコンロ、ガスボンベ | 停電でIHが使えなくなるための備え。引っ越しのときに用意しておくのがおすすめです。 |
| LEDの懐中電灯、乾電池 | 古いタイプは暗く感じられる場合があるためです。直前は売り切れることが多いため早めの補充をおすすめします。 |
| お水や保存食 | 台風直前は品薄になりやすいためです。2日前までを目安に事前の準備を済ませましょう。 |
沖縄の暮らしで知った台風への備え方
私が、移住してから台風への準備の仕方が変わったのは、地元の方の判断基準を知ってからでした。天気予報のニュースだけでなく、地域に住むみなさんの行動を参考にすると、とてもスムーズに備えができます。
「今回の台風は大したことないから大丈夫」
移住してから初めての大型台風のとき、「車が吹っ飛ぶんじゃないかと思って怖い」と友人に相談すると、返ってきた言葉は「え、今回は大したことないよ〜」でした。移住者の私には十分怖い規模でしたが、うちなんちゅにとってはとっては「大したことない」台風だったようです。
長年台風と向き合ってきた経験から、これは準備しなくていい規模かどうか、感覚でわかるようです。台風の中心気圧(hPa)を普通の会話で使い、「1000hPaだからそれほど心配いらないよ」「920hPaだから気をつけておこう」というやり取りが自然に交わされます。移住者はニュースの「警戒情報」で判断しがちですが、地元の人はhPaの数字で判断しているのです。
周囲の動きを参考にする方法
私なりに台風の規模を判断する方法があります。普段から台風に慣れている同僚や友人が、どのタイミングでお買い物を始めているかを確認します。「大したことない」と言っていた人が「パン買っとかなきゃ」と言い始めたら、事前の備えを本格的に進める目安になります。逆に、周囲の方がいつも通りにのんびり過ごしているときは、焦らずに落ち着いて構えることができます。
うちなんちゅの台風センサーを以下に一覧にしました。
- 「今回は大丈夫そう」と話し、普段通りに過ごしているとき:落ち着いて対応できる規模の台風であることが多いです。
- 「お水を買いに行こう」など、具体的な準備を始めるとき:事前の備えを本格的に進める目安です。
- お店の窓に養生テープやネットが張られ始めるとき:暴風への対策が始まっているサインです。
台風の日に見た、うちなんちゅの過ごし方
台風が直撃している間、私は家にじっとこもっているのが当たり前だと思っていました。でもうちなんちゅの過ごし方を見ていると、その心の余裕に驚かされることがあります。
近所から車が消えていた理由
びっくりしたのが、いつも路駐している車が近所から全然なくなっていたことです。車が飛ばされないように別の場所へ移動させているのかと思っていたのですが、実は親戚や友人の家に集まって、ゆんたくしながら台風が過ぎるのを待っている方が多いとのことでした。
台風の目が来た瞬間には、晴れ間が出ることもあります。その隙間を見計らって、犬の散歩やランニングをしている方を見かけることもありました。長年台風と付き合ってきたうちなんちゅならではの、たくましさを感じます。
友人から届いた「パズル完成」の報告
台風で家に閉じこもっていたとき、基地内に住んでいる友人から「今何してる?」とメッセージが届きました。「私はトナリのトトロの1000ピースパズルをやっているところ。ベイビーベーダのLOGOSもできたよ」と写真を送ってくれました。
そのLOGOSがとても可愛らしくて、思わず笑ってしまいました。基地が外出制限になると一歩も出られなくなるそうですが、友人は退屈するどころか、パズルを1つ完成させるくらいの余裕を持って過ごしていたようです。
停電前にやっておきたい動画のダウンロード
台風中に困るのが、停電によるWiFiの停止です。私はAmazonプライムやNetflixの動画を、台風が来る前日のうちにダウンロードしておくようにしています。ダウンロード済みであれば回線がなくても視聴できるので、モバイルバッテリーで充電しながらゆっくり過ごすことができます。
まとめ
沖縄の台風は、移住者の目線とうちなんちゅの目線とでは見え方がまったく違うものだと感じました。スーパーに並ぶタイミング、水を確保する早さ、同僚の買い物の様子。地元の方の行動には、長年の経験から生まれた判断基準が自然と表れています。
エルニーニョの影響で台風の多い年といわれる2026年も、まずは身近な方の様子を参考にしながら、無理のない準備を進めていただければと思います。
あとがき
今回の記事を書きながら、これまでの台風シーズンを振り返る良い機会になりました。慌てて買い出しに走ったことや、友人のパズル報告に笑ったことも、これからの台風に備えるいい経験になりました。うちなんちゅののんびりとした構え方に、何度も助けられてきました。これからも沖縄での暮らしを、少しずつ自分のペースで楽しんでいきたいと思います。

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