なぜ人に向かってくる!?沖縄の巨大ゴキブリ・トービラー

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沖縄に来てから、夏になるたびに悩まされているのがゴキブリです。夜、アパートの廊下や階段で見かけたり、部屋の中に突如現れたりする、あの大きな黒い影は、本土のゴキブリとは比べ物にならないほど巨大です。遭遇するたびに心臓が縮み上がります。この記事では、なぜ人に向かって飛んでくるのか、なぜ本土よりも大きいのか、そうした疑問を実体験を交えながらひもといていきます。正体が分かれば、この恐怖との付き合い方が少し変わるかもしれません。

夏になると廊下や階段で必ず出会う

沖縄で暮らしていると、暑くなるにつれてゴキブリを見かける回数が増えていきます。特に夜の廊下や階段は、ほぼ毎年のように出くわす場所です。日中はほとんど気配を感じないのに、日が落ちたとたんに出没します。

今でも忘れられない顔の上の異物感

小さい頃、寝ている時に顔の上に何かがのっている感覚があって、掴んだらゴキブリだったことがあります。頭が真っ白になり声も出ず、放り投げた記憶があります。心臓がバクバク鳴りしばらく放心状態でした。人間ってあまりのショックを受けたときには、悲鳴をあげることすらできないのですね。

大人になってからも、部屋にゴキブリが入ってきてパニックになり、友達を呼んで退治してもらったこともありました。来てくれるまでの間、部屋の外に出たかったけど、どこかに隠れてしまうのが恐怖で出るに出られず、できるだけ刺激しないようにじっと監視していました。

一度、一人の時に自分で退治しようとして逃げられ、そのまま姿を消したこともあります。仕留めたと思った瞬間に見失った時の絶望感は、半端なかったです。どこに潜んでいるか分からないまま、その日はろくに眠れませんでした。

アパートの廊下で固まったあの日

そんな私が沖縄で最初に出くわしたのは、夜、階段にいた黒い物体でした。あまりに大きくて、一瞬それが何なのか分かりませんでした。正体に気づいた瞬間、本土で見てきたものとは大きさが違います。部屋にいくにはなんとかしなければいけません。「飛びませんように」と祈りながら、思い切って一段飛び越えたこともありました。

なぜ人に向かって飛んでくるのか

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那覇の夜道を歩いていた時、ゴキブリがすぐ横をびゅっと飛んでいって、思わず「ぎゃっ」と声が出たことがあります。ゴキブリ研究の専門家によると、彼らはハチのような毒針を持たないので、敵に出会うと攻撃するより逃げたり隠れたりして対応するそうです。人に向かって飛んでくるのも、攻撃ではなく、たまたま人をちょうどいい着地点として使っているだけだといいます。

理屈でそう分かっていても、飛んでくる瞬間の恐怖は変わりません。沖縄で暮らしている人なら、この恐怖は痛いほどわかってもらえるはずです。ゴキブリ側が逃げ場を探しているだけだとしても、こちらにとっては一大事です。

正体はワモンゴキブリで大きさが違う

本土でおなじみのチャバネゴキブリも沖縄にはいますが、体長は<1〜1.5センチほどとかなり小さめです。また、クロゴキブリも、体長は2.5〜3.0センチほどです。沖縄にもクロゴキブリはいますが、多いのはワモンゴキブリで、体長は3〜4.5センチとひとまわり大きくなります。

同じ「ゴキブリ」という名前でも、種類によってここまでサイズが違います。

種類 主な生息地 体長
チャバネゴキブリ 全国 1〜1.5cm
クロゴキブリ 全国 2.5〜3.0cm
ワモンゴキブリ 九州以南 ・沖縄 3〜4.5cm

沖縄の気候がゴキブリを育てている

沖縄は一年を通して気温が高く、ゴキブリの活動が止まる時期がほとんどありません。本土のように冬場に動きが鈍る期間が短いぶん、成長する時間も長くなります。道理で大きいはずです。私たちが見ていた本土のゴキブリとは、そもそも育つ環境が違っていたわけです。

気温だけでなく湿度も関係しています。ゴキブリは乾燥が苦手なため、一年中湿気のある沖縄の環境は、脱皮や成長にとって好条件がそろっています。餌になるものが豊富な点も、大きく育つ理由のひとつなのでしょう。

森や公園など屋外にも生息しているため、家の中をどれだけきれいにしても遭遇をゼロにはできません。網戸や玄関の開け閉めの隙間から入ってくるケースも多々あります。

繁殖力と天敵

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アース製薬の研究員によると、クロゴキブリのメスは夏場、2〜3日に1個のペースで卵を産み、その卵鞘には平均24個の卵が入っているそうです。一生でおよそ20個の卵鞘(らんしょう)を産むため、メス1匹から生まれるゴキブリは約500匹にのぼります。

この記事の主役であるワモンゴキブリも負けていません。ダスキンの資料によると、メスは週に1度ほどのペースで卵鞘を産み、1つの卵鞘には平均14〜16個の卵が入っているそうです。しかも、オスと交尾しなくても単為生殖で繁殖できる場合があり繁殖力が強いため、正直かなり厄介な相手です。活動時期は5〜10月で、寿命は約2年半から3年にもなります。

ゴキブリは7ミリから1センチほどの隙間を好み、1週間で25メートルほど移動することもあります。玄関や排水口まわりの小さな隙間も、彼らにとっては十分な入り口になります。

頼れるのはヤモリよりアシダカグモ

沖縄の家にはヤモリがよく入ってきます。私の家でも、可愛いしゴキブリを食べてくれるだろうと思って、そのままにしていました。でも調べてみると、ヤモリが食べるのは小さな虫が中心で、大きなゴキブリにはあまり期待できません。

むしろ頼りになるのはアシダカグモです。脚を広げると手のひらほどの大きさになり、ゴキブリを捕食する益虫として知られています。見た目の迫力はすさまじいですが、人を積極的に襲うことはほぼないため、見かけても駆除せずそっとしておくのが正解です。

最初にアシダカグモを見た時は、ゴキブリと同じくらい叫びそうになりました。でも正体を知ってからは、家にいてくれたほうが心強い存在になっています。見た目の怖さと実際の役割が一致しない生き物は、意外と多いものです。名前や見た目のインパクトが強い生き物ほど、実際の生態とのギャップが大きいのかもしれません。

まれに噛まれることもあるらしい

ゴキブリは基本的に人を噛んだりすることはめったにないとされていますが、まれに、汗のにおいを餌と間違えて噛むことがあります。あの顔の上の実体験を思い出すたび、「めったにない」という言葉だけでは安心しきれません。我が家では、万が一のときのためにスプレーを常備しています。

方言ではトービラーと呼ばれている

沖縄で暮らすうちに知ったのが、ゴキブリを指す方言の呼び方です。最初はなんの意味なのかわからなかったのですが、いろいろな呼び方があるようです。

~方言名ヒーラー、トービラー【沖】、クームヤ【宮】、アンシト【奄】。便所や下水路など不潔な場所に多く、クロバエとともに嫌われものの代表格だが、古生代石炭紀に早くも地球上に出現した生き物。沖縄には30余種が分布する。~

琉球新報 沖縄用語辞典

表記に多少の違いはあるものの、地域によって呼び方が変わるのは沖縄ならではです。同じ生き物なのに、本島と宮古、奄美でここまで言葉が違うのは、方言の奥深さを感じます。呼び方ひとつでも、地域によって表情が変わるのはおもしろいですね。

標準語で「ゴキブリ」と呼ぶ時とは、響きがまったく違います。日常の中に昔から溶け込んできた言葉だと知ると、少しだけ恐怖感が薄れる気がします。同じ生き物でも、呼び名が変わるだけで気持ちがやわらぎます。

今日からできる侵入対策

方言の呼び名がかわいくてもゴキブリはゴキブリです。家には絶対入ってきてほしくはありません。基本の対策はシンプルです。

  • 玄関や網戸の7ミリ以上の隙間を塞いでおきます。
  • 段ボールを室内に長く置かないようにします。
  • キッチンの水気や食べ残しをこまめに片付けます。

どれも特別な道具はいらず、今日からすぐに始められることばかりです。地道な対策が、結局いちばんの近道になっている気がします。侵入されてから慌てるより、日々の習慣で防ぐほうがずっと気持ちが楽です。特に湿度が上がる時期は、いつも以上に意識しましょう。

玄関や網戸だけでなく、エアコンの配管が壁を通っている部分にも、同じくらいの隙間が空いていることがあるといわれています。見えにくい場所ほど、意外な侵入口になっているようです。定期的にチェックする習慣をつけておくとよいでしょう。

まとめ

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沖縄のゴキブリが人に向かって飛んでくるのは、狙われているからではなく、たまたま人をちょうどいい着地点にしているだけでした。正体はワモンゴキブリで、本州のクロゴキブリよりひとまわり大きく育ちます。方言ではトービラーと呼ばれ、地域によって呼び方も変わります。侵入を防ぐには、隙間をふさぐなど日々の対策を欠かさないようにしましょう。

あとがき

トービラーとは、沖縄に来てから毎年顔を合わせています。理屈で狙われていないと分かっても、飛んでくる瞬間はやっぱり恐怖です。それでも今は、スプレーを片手に落ち着いて対処できるようになりました。この記事を書きながら、やっぱりできる限り遭遇したくないという気持ちが強まりました。慣れるどころか、毎年新鮮さに驚かされている気がします(笑)。

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