沖縄というと、泡盛を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実は沖縄では、さとうきびを原料にしたラム酒も造られていて、世界的にも珍しい製法で仕込まれた本格派として静かな注目を集めています。私自身もこの沖縄ラムの存在を知らず、この記事を書くために調べるなかで、その奥深さに驚かされました。初めて飲むならどれを選べばいいのか、代表的な銘柄や飲み方とあわせてご紹介します。
東京の友人が銀座のバーで出会った沖縄ラム
お酒好きの友人から「知らないお酒に出会ってしまった」と聞いたら、いったいどんなお酒だったのか気になりませんか。東京に住む友人から、沖縄ラムについて教えてもらったことが、この記事を書くきっかけになりました。
友人は銀座のバーで初めて沖縄ラムを飲み、そのおいしさに感動したそうです。もともとウイスキーやコニャック、ボルドーやブルゴーニュのワインを好んで飲む人で、ラムのなかでもマルティニーク産のものが好きだといいます。沖縄の泡盛は文化として味わうけれど、一番好きな酒ではないと以前から話していました。
そんな友人が、沖縄ラムをストレートとカクテルの両方で試し、植物のような爽やかな甘みとシルキーな口当たりがあったと教えてくれました。ふだん好んで飲むお酒とは違うジャンルのラムに、それだけ心を動かされたということだと思います。
「もし飲んだことがないなら、ぜひ一口だけでも試してみて!」と友人は勧めてくれました。そして、次に沖縄を訪れる時は名護市にあるヘリオス酒造へ行くつもりだと話し、蒸留所へのアクセス情報が載ったリンクまで送ってくれたのです。
友人の話を聞くまで、私は沖縄に独自のラムがあることを知りませんでした。ラムというとカリブ海のイメージが強かったので、沖縄で造られていること自体が新鮮で驚きでした。
沖縄でラムが造られている理由
南の島で造られるお酒といえば、泡盛を思い浮かべる方が多いと思いますが、なぜ同じ沖縄でラムまで造られるようになったのか、不思議に感じると思います。その答えは、沖縄を古くから支えてきた農作物であるさとうきびにあります。
さとうきびは台風の多い沖縄の気候に適応し、県内の多くの農家が長年育て続けてきた沖縄を支える作物のひとつです。もともと黒糖として利用されてきた原料が、近年はラムという新しい形で活かされるようになりました。
沖縄産ラムの歴史は1961年にさかのぼります。名護市のヘリオス酒造は、当時「太陽醸造」という社名で創業し、貴重な穀物を使わずに酒を造るという考えのもと、県産のさとうきびを原料にした沖縄初のラムを世に送り出しました。
~「創業者の松田正は戦時中、軍で燃料用アルコールを作っていました。戦後沖縄に戻り、復興が一段落した後にやりたかった酒作りを始め、那覇の崇元寺で太陽醸造を創業。将来の食糧危機に備え、五穀に頼らない酒を作りたい。沖縄産の原料で酒を作りたい。そんな思いからラムを作ることにしたのです」~
現在は沖縄本島だけでなく、南大東島や伊江島といった離島にも蒸留所が広がっています。同じ沖縄のなかでも、島ごとに造り手のこだわりが異なる点も、沖縄産ラムの面白さのひとつです。
製法にも違いがあります。糖蜜を使う伝統的な製法、固形の黒糖を溶かして使う黒糖製法、そして搾りたての生の汁をそのまま使うアグリコール製法の3種類が、同じ沖縄のなかで実践されています。
なかでも注目したいのが「アグリコール製法」です。さとうきびを収穫してすぐに搾った生の汁を発酵・蒸留する方法で、栽培地の近くに蒸留所が必要なうえ、収穫期にしか造れないという制約があります。世界のラム全体のなかでもごくわずかしか流通していないといわれるほど希少な製法です。
初めてでも飲みやすいおすすめ銘柄
数ある沖縄産ラムのなかから、最初の一本はいったいどれを選べばよいのか、種類が多くてかえって迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。ここでは初めて飲む方でも手に取りやすい銘柄を、蒸留所ごとの違いとあわせて紹介します。
| 銘柄 | 蒸溜所 | 度数 | 特徴 |
| COR COR25 | グレイス・ラム | 25% | 度数控えめで食事にも合わせやすい。 |
| TEEDA WHITE | ヘリオス酒造 | 40% | 県産黒糖を使ったまろやかな甘み。 |
| イエラム サンタマリア クリスタル | 伊江島(いえじま)蒸留所 | 37% | 搾りたてのようなフレッシュな香り。 |
| THE OKINAWA ISLANDS RUM | 瑞穂酒造(ONERUM) | 40% | 離島8島の黒糖をブレンド。 |
お酒にあまり強くない方は、25%に抑えられたCOR COR25から試すと安心です。南大東島(みなみだいとうじま)で無添加・無着色にこだわって造られており、食中酒としても扱いやすい一本です。
黒糖由来のやわらかな甘みを楽しみたいならTEEDA WHITEが向いています。さとうきびの搾り汁ではなく沖縄伝統の黒糖を原料にしているため、フルーティーで飲みやすい味わいに仕上がっています。
さとうきびそのものの香りを確かめたい方にはイエラム サンタマリア クリスタルがおすすめです。伊江島産のさとうきびだけを使い、ステンレスタンクで熟成させたホワイトラムで、搾りたてのような新鮮な香りが特徴です。
離島ごとの違いを一度に味わいたい方にはTHE OKINAWA ISLANDS RUMが向いています。沖縄の離島8島でつくられる黒糖をブレンドした一本で、島ごとの個性が調和した味わいを楽しめます。
沖縄産ラムを選ぶ際は、次のような視点で見比べてみてください。
- COR COR25:度数を抑えて食中酒にしたい場合におすすめです。
- TEEDA WHITE:黒糖のやさしい甘みを求める方に向いています。
- イエラム サンタマリア クリスタル:さとうきびそのものの香りを味わいたい方に選ばれています。
- THE OKINAWA ISLANDS RUM:離島ごとの個性を一度に楽しみたい方に合っています。
いずれも各蒸留所の公式サイトやオンラインショップで購入でき、沖縄県内の物産店で扱われていることもあります。旅行中に立ち寄れそうな場所があれば、現地での味比べも楽しめます。
飲み方で広がる沖縄ラムの表情
同じ銘柄でも、氷を入れるか炭酸で割るか、あるいはそのまま口に運ぶかによって、味わいの印象がまったく違って感じられることをご存じでしょうか。沖縄産ラムは、そのときどきの飲み方次第で表情が大きく変わるお酒です。
沖縄の気候そのものが、飲み方の選択肢を広げてくれている面もあります。年間を通じて気温の高い日が多いため、ソーダ割りやカクテルで軽やかに楽しむスタイルが定着しやすい土地柄といえます。
特にアグリコール製法のラムは、さとうきび本来の香りが強く出るため、まずはストレートやロックで試すのがおすすめです。原料由来の甘みと香りを、加水せずにダイレクトに感じられるはずです。
暑い日にはソーダで割るハイボールも人気があります。炭酸の刺激でさとうきびの香りが引き立ち、すっきりとした後味へと変わっていきます。友人が試したというカクテルスタイルも、この飲み方に近いものだったようです。
カリブ海の島々で親しまれている「ティポンシュ」も、沖縄産ラムと相性のよい飲み方です。ラムとライム、シロップをグラスに入れて混ぜるだけのシンプルな飲み方で、氷を入れないのが現地の流儀とされています。
ライムジュースとシロップを合わせるダイキリにすると、さとうきびの風味がより際立ちます。食後にはモンブランやスウィートポテトなど、甘いスイーツとの組み合わせもよく合う一杯です。
季節や気分によって飲み方を変えられるのも、沖縄産ラムならではの楽しみ方です。友人のようにストレートとカクテルを飲み比べてみると、それぞれの違いがよくわかります。旅先で味わうか自宅でゆっくり楽しむかによっても、選びたくなる飲み方は変わってくるはずです。
まとめ
沖縄産ラムは、さとうきびを原料にした沖縄独自の島酒です。度数や原料の違いによって味わいが変わるため、自分の好みに合わせて選ぶ楽しさがあります。まずは飲みやすい銘柄からストレートで試し、慣れてきたらソーダ割りやティポンシュなど、飲み方の幅を広げてみてください。銘柄ごとの個性を比べながら自分にとっての一本をゆっくり見つけてみましょう。
あとがき
友人から沖縄ラムの話を聞くまで、沖縄に独自のラムがあることを知りませんでした。普段からさとうきびを料理に使っていて、砂糖とは違う柔らかいほんのりした甘さで、そのさとうきびからお酒が作れるとは思っても見ませんでした。
調べるほどに製法の希少さや銘柄ごとの違いがわかり、今では実際に飲んでみたいと思っています。島ごとに特徴があるとのことで、少しずつ試していくのが楽しみです。


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