沖縄旅行で海ぶどうを食べたことがあっても、アーサやモーイという名前はあまり耳にしたことがないかもしれません。実は沖縄の海にはもずく・アーサ・海ぶどう・モーイという4種の食べられる海藻があり、食感も旬も食べ方もそれぞれに違います。この記事では、それぞれの特徴と旬の時期、沖縄旅行中に食べられる場所まで、まとめてご紹介します。「海の野菜」の食べ比べを旅の楽しみのひとつに加えてみると、沖縄グルメがぐっと広がります。
沖縄の海には「海の野菜」がある
「海藻」と「海草」、見た目は似ていても実は別の存在です。まずそこを軽く整理してから、沖縄の海藻が食文化にどう根ざしてきたかを見ていきます。
海藻と海草:名前は似てるけど別もの
海藻は胞子で増える藻類で、もずくやアーサ、海ぶどうなどがこれにあたります。食べられるのもこちらです。海草は陸上の植物と同じように根・茎・葉をもち、花が咲いて種で増える植物です。リュウキュウスガモなどが代表で、基本的に食用にはなりません。
沖縄の海には両方が自生していますが、この記事で紹介するもずく・アーサ・海ぶどう・モーイはすべて海藻です。食卓に上るのは「海藻」の方だと覚えておくと、沖縄の食材を選ぶときに迷いません。
沖縄の海藻には方言名がある
沖縄では海藻を方言名で呼ぶ習慣があります。もずくは「スヌイ」、ヒトエグサは「アーサ」、イバラノリは「モーイ」。それぞれ昔から地元の食文化に根ざしてきた名前です。
~沖縄では、昔から三杯酢として食されている事から、方言で酢のりという意味から「スヌイ」「スヌリ」「スヌール」「スヌル」、宮古では「ススズイ」と呼び方も様々です。~
居酒屋のメニューや市場の表示に方言名が出てきたとき、この記事を読んでいれば「あ、これか」とすぐにわかります。以降は方言名と和名をあわせて紹介していきます。
まず知っておきたい定番2種:もずくとアーサ

沖縄の居酒屋や食堂でほぼ必ず見かける2種です。知っているようで意外と知らない定番を、確認しておきましょう。
もずく(スヌイ)
スーパーで売られているもずくのほとんどが、沖縄の海で育ったものです。全国のもずくの99%以上が沖縄産というのは、意外と知られていない事実かもしれません。サンゴ礁の温かく清らかな海が、もずくの養殖に最適な環境をつくっています。
沖縄のもずく(オキナワモズク)は一般的なものより太くてコシがあるのが特徴で、食感がしっかりしています。酢の物・天ぷら・スープなど料理の幅も広く、旅行中に入った居酒屋で、定番の一皿として必ずといっていいほど登場します。旬の最盛期は4〜6月ですが、加工品として通年流通しています。
アーサ(ヒトエグサ):春の磯の香りが楽しめる緑の海藻
アーサは浅瀬の岩場に生える緑色の海藻です。春になると岩場を緑のじゅうたんのように覆う様子が見られ、沖縄では春の風物詩として親しまれています。薄くて柔らかく、磯の香りが豊かなのが特徴です。
旬は1〜4月で、この時期には市場に生のアーサが並びます。代表料理はアーサ汁で、カツオだしと島豆腐を合わせたシンプルな汁物です。沖縄そばのトッピングや天ぷらとしても人気で、地元の食堂で気軽に食べられます。旬が過ぎても乾燥アーサなら通年手に入ります。
アーサとあおさ:同じもの?
名前が似ているのでよく混同されますが、沖縄のアーサ(ヒトエグサ)と一般的な「あおさ」(アオサ科)は厳密には別の種類です。広い意味では同じ仲間として扱われることも多く、アーサをあおさと呼んでも大きな間違いではありません。
ただ、磯の香りや柔らかさはアーサの方が豊かで、沖縄料理ならではの食感があります。沖縄でアーサ天ぷらやアーサ汁を頼めば、ヒトエグサを使った料理が出てきます。
旅行で出会える個性派2種:海ぶどうとモーイ
定番の2種を押さえたら、次は少し個性的な2種にも目を向けてみてください。どちらも見た目や食感のインパクトが大きく、食べてみると「なるほど」となる面白さがあります。
海ぶどう(クビレズタ):プチプチがクセになるグリーンキャビア
「グリーンキャビア」とも呼ばれる海ぶどうは、プチプチとした食感と鮮やかな緑が印象的な海藻です。一粒一粒に海水が詰まっており、口の中でぷちっとはじけるとそのまま磯の風味が広がります。1989年に恩納村(おんなそん)漁業協同組合が養殖技術を確立してから急速に普及し、今では通年楽しめる沖縄の定番食材です。
食べる際のポイントは保存方法です。冷蔵庫に入れると萎んでしまうため、常温保存が必須です。酢醤油やごま油は食べる直前にかけるのがコツです。タレに浸したまま置いておくとプチプチ感が失われてしまいます。主な産地は恩納村と久米島です。
モーイ(イバラノリ):お湯で色が変わる!沖縄のレア海藻
モーイは沖縄の方言でイバラノリのことを指します。採れたては赤紫色の海藻ですが、お湯に入れた瞬間に鮮やかな緑色に変わります。加熱で赤い色素が変わり、緑の色素が残るためです。コリコリとした食感に、煮ると溶け出す寒天のようなとろみが加わる独特の食べ応えがあります。
収穫時期は3〜5月で、沖縄島東海岸など限られた岩礁で採れる希少な海藻です。代表料理はモーイ豆腐(乾燥モーイをツナと煮て固めたもの)で、沖縄県栄養士会でも郷土料理として紹介されています。スーパーでは乾燥品として販売されており、お土産としても持ち帰りやすい食材です。
旅行前にチェック!4種まとめ

ここまで紹介してきた4種の特徴を一覧表にまとめました。旅行の時期やスタイルに合わせた食べ比べの参考にしてみてください。
食感・旬・食べ方の比較表
| 海藻名(方言名) | 食感 | 旬 | 代表的な食べ方 |
|---|---|---|---|
| もずく(スヌイ) | ぬめり・コシがある | 4〜6月(通年流通) | 酢の物・天ぷら・スープ |
| アーサ(ヒトエグサ) | やわらかく磯の香り豊か | 1〜4月(乾物は通年) | アーサ汁・天ぷら・そばのトッピング |
| 海ぶどう(クビレズタ) | プチプチ・はじける食感 | 通年(養殖) | 酢醤油・ごま油づけ・サラダ |
| モーイ(イバラノリ) | コリコリ・寒天のとろみ | 3〜5月(乾物は通年) | モーイ豆腐・ドレッシング和え |
沖縄旅行中に食べられる場所・買える場所
もずく・アーサ・海ぶどうは那覇や恩納村の居酒屋・食堂で広く食べられます。モーイは乾物コーナーや市場で探してみてください。旅のスタイルに合わせて参考にしてみてください。
- 国際通り周辺の沖縄料理居酒屋:もずく天ぷら、アーサ入りだし巻き、海ぶどう丼などのメニューが揃っています。
- 恩納村「元祖海ぶどう本店」(万座毛近く):養殖場直送の新鮮な海ぶどうを丼で楽しめます。
- 那覇・第一牧志公設市場:もずく・海ぶどう・アーサなど、沖縄の海藻食材が生鮮品として揃っています。
- スーパーや道の駅:乾燥モーイ・もずく酢・乾燥アーサなど、お土産にもなる加工品が手に入ります。
- 糸満市「海ん道(うみんち)」:海ぶどうの摘み取り体験ができます(要事前予約)。
旅行の時期によって出会える海藻は変わります。春(1〜4月)は生のアーサが旬で、市場で見かけやすい時期です。夏から秋は養殖の海ぶどうともずくが楽しめます。モーイの乾燥品は通年手に入るので、どの季節でも4種すべてに出会えます。
まとめ

沖縄の海にはもずく・アーサ・海ぶどう・モーイという4種の個性ある「海の野菜」があります。4種それぞれ食感も旬も違うので、組み合わせて食べると沖縄の海の豊かさをより深く感じられると思います。
居酒屋でいつでも出会えるもずくとアーサ、プチプチの食感が楽しい海ぶどう、お湯で色が変わる不思議なモーイ、どれも沖縄ならではの魅力があります。もずく・アーサは居酒屋で、海ぶどうは食堂や産地で、モーイはスーパーや市場で出会えます。旅行中に4種コンプリートを目標にしてみると、沖縄グルメがひとつ楽しくなるかもしれません。
あとがき
沖縄の海藻をまとめてみて、方言名のひとつひとつに沖縄の食の歴史が詰まっているのだと感じました。スヌイが「酢のり」から来ているという話も面白いですよね。モーイは私は食べたことがなく、お湯で色が変わる瞬間を見てみたいので試してみたいと思います。
アーサは干潮の時にみると緑が広がる絨毯のようで、遠くから見ると海藻とは思えない美しさがあります。沖縄の海藻は、栄養も豊富で食べても美味しく、見ても楽しめます。旅行に来られたときはぜひ食べてみてくださいね。


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